研究課題
1次元2状態の基本的な量子ウォークに関しては既に多くの知見が得られているので、それを拡張したモデルの局在化と極限定理などについて引き続き研究を行った。具体的には、空間的に非一様な場合で、空間的に一様なアダマールウォークを含むクラスである。組合せ論的手法と母関数の手法を組み合わせることにより、原点だけデイフェクトが加わった空間的に非一様な量子ウォークに関して、その定常測度と弱収束定理を具体的に求め、さらに局在化の必要十分条件も得ることが出来た。それに先行する研究として、原点だけデイフェクトが加わった空間的に非一様な量子ウォーク、具体的にはアダマールウォークにフェイズが加わったような形であるが、ある場合には局在化を示さず、また別の場合には局在化を示すことを、研究代表者は示していた。従って、本研究はそれに関する詳細な結果を得たことに対応する。さらに、このモデルは、世界的にも、ドイツ、フランスやアメリカとスペインなど、幾つかのグループで様々な観点から研究がなされていたので、この結果は非常に重要な結果であるといえる。また、グラフのあるクラスについて、そのグローヴァー・ウォークを考えるとき、ある種のグラフのゼータ関数との間に興味深い関係が得られることを発見した。この結果は、はじめて、量子ウォークとゼータ開数との関係を明確に示した点に意義があり、一般のグラフ上の量子ウォークの時間発展を解析する際に、重要な役割を持つと思われ、今後のその方向の研究の発展が期待される。
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Quantum Information Processing
巻: Vol.11, No.2 ページ: 341-349
DOI:10.1007/s11128-011-0250-1
巻: Vol.11, No.2 ページ: 465-480
DOI:10.1007/s11128-011-0265-7