研究概要 |
本研究は,先行研究(基盤研究(C)課題番号19540120)で導入した統一的非線形スカラー化手法に関して理論的解析と数値計算アルゴリズムの開発,及び応用研究を行うことを目指すものである。平成21年度に得られた結果は以下の通りである。 1.大学院生との共同研究によって,集合値写像に対する統一的非線形スカラー化関数の凸性・半連続性の遺伝的性質に関する結果を得た。特に,実数値の半連続性の概念に当たる性質を集合値写像に一般化して,それらの性質が統一的非線形スカラー化関数で保存される点を世界で初めて明らかにした。現在,その内容を学術論文として投稿中であると同時にその応用研究を行っている。 2.非線形スカラー化関数の値を実際に計算するための手法について国内の複数の学会で講演し貴重な意見を頂いた。また,山田准教授及び大阪大学の谷野教授と,大域的最適化問題の外部近似法についての共同研究を行った。特に,DC計画問題に関する結果とリプシッツ最適化問題に対する結果は学術論文として公表できた。 3.DEA(包絡分析法)や統計手法を利用して多次元データに関する評価方法の応用研究を行った。また,DEAについて包絡線を自動計算する方法を提案した。現在,論文を投稿中である。 4.得られた結果を京都大学数理解析研究所での研究集会や日本オペレーションズ・リサーチ学会,自動制御連合講演会などで発表するとともに台湾で開催された2つの国際会議で口頭発表を行った。
|