| 研究概要 |
2009年メキシコで発生したA(H1N1)新型インフルエンザは、2009年日本にも上陸しこの年大流行を引き起こし推計2件万人を超える感染者を出した。さらに2010年度においてもインフルエンザ流行の主役となっている。2009年度において新型インフルエンザワクチンの供給量が当初著しく不足し社会的問題を引き起こした。このため、本年度は、ワクチン接種政策の評価を中心に研究を進めた。
(1)2009年に発生した新型インフルエンザ流行について日本各地域における初期感染者の発生状況、感染拡大の様相、感染者の推移、流行収束の状況のデータ収集並びに分析を行った。
(2)2009年に発生した新型インフルエンザ流行について、ワクチンの供給、接種状況についてデータを収集し分析を行った。
(3)新型インフルエンザ流行対策としてのワクチン接種について、開始時期、接種の優先順位グループの設定及び実施方法について、人口約190万人の北海道札幌市の人口構造を再現し、IBMモデルによるStochasticシミュレーションに基づき流行抑圧、死亡者発生の抑制の観点から評価を行った。この結果、感染率や致死率の高い者を優先接種対象者としたワクチン接種対策の総感染者数、死亡者数抑制に対する有効性が認められ、優先接種対象者補の接種を重点的に行うことで感染者数死亡者発生を抑制する効果が大きくなることが分かった。また流行初期に対策を開始するほどワクチン接種対策によって得られる効果は大きくなり,開始が遅れると接種水準による影響を受けにくくなるとの結果を得た。
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