研究概要 |
平成21年度は、中田は玉と壷のモデルに関する衝突確率の研究を主に行った。問題は以下の通りである:「いくつかの壷を用意し、その壷にいくつかの白玉といくつかの黒玉を投げる。壷の中に白玉と黒玉とが両方とも入る場合を衝突があるということにする。このとき、衝突がある壷の数の分布はどのようになるか?」それぞれの玉の投入確率が一様な場合にはT. Nakata, A Poisson approximation for an occupancy problem with collisions, J. Appl. Prob., 45, No. 2, 430-439 (2008)によって調べられた。ここでは、投入確率が非一様である場合を考えた。分布の議論や任意の次数の階乗モーメントを投入確率が一様な場合と同様に正確に求めることができ、いくつかの極限定理をえることができた。例えば上記の論文では少し強い条件の下で大数の弱法則をえたが、実際はその条件は必要なく広い条件で成り立つことがわかった。さらには、少し強い条件を課せば大数の強法則もえることができた。つまり、大数の弱法則から部分列での収束を示した後、ある種の一様性にあたる条件を与えた。また、Poisson近似されるような条件を整備することが出来た。それには階乗モーメントの収束を示すが、投入確率の非一様性のために収束を示すことが難しい。しかし、これは多項式の重複の項の数え上げの方法を用いて克服することが出来た。さらには、Chen-Steinの方法によるPoisson近似の具体的な上限の評価も得たが、投入確率が一様の場合と同じようになるので、特に問題なく評価することができた。
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