研究概要 |
研究代表者は玉と壷のモデルに関する衝突確率の研究を平成21年度に引き続き平成22年度も行った。具体的にはT.Nakata, A Poisson approximation for an occupancy problem with collisions, J. Appl. Prob., 45, No. 2, 430-439 (2008)によってえられた結果の精密化を考えた。平成22年度において、衝突するときの指示関数が負の依存性をもつことについての結果をえた。このことのより、例えば衝突しない確率の評価を簡単に導くことができた。直接の組み合わせ計算を進めた際には厳密な確率をえることができるかもしれない。しかし、それは形式的で複雑な計算式となってしまい、本質が見えなくなってしまう。さらに、厳密な確率の計算は極限定理を導く際には必ずしも必要はなく、ある程度の評価だけで十分であることが多い。そういう意味で、負の依存性に関しての結果は計算の簡略化の意味だけとりあげても有用なものであると思われる。また、衝突のモデルはボルツマン抽出の枠組みの中で、2つの有限集合のアダマール積の抽出のためのランダムなアルゴリズムに関する評価式に応用できるのではないかという指摘がヴェルサイユ大学のDaniele Gardy教授により平成22年7月にあった。研究代表者はその研究も少しずつ始めている。
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