研究概要 |
亀裂問題に現れるエネルギー解放率に関して,形状感度解析の手法とバナッハ空間を用いて代表者らが構築した数学的枠組みを拡張・発展させ,その変数係数非等方線形弾性体における曲面亀裂のエネルギー解放率の存在証明を与えるとともに,エネルギーの形状変形に関する高階微分可能性を証明し(M.Kimura and I.Wakano(2011)),更に,p-Laplacian型の非線形楕円型作用素に対しても拡張できることを示した(K.Ohtsuka and M.Kimura(2012)). 体積保存型の非局所項を持つ非等方Allen-Cahn方程式に対し,高精度な数値解法を提案し,その特異極限である面積保存非等方曲率流問題と数値的な比較を行った.それにより,それぞれの解の長時間に渡る挙動が数値的に一致することを確認した.また,この非局所項を持つ非等方Allen-Cahn方程式が,固体の再結晶化現象にも関連していることを示唆する結果を得た(M.Benes, S.Yazaki and M.Kimura(2011)). 亀裂進展現象を記述するフェーズフィールドモデルによる亀裂進展の数値計算を更にすすめ,モデルの性質を数値計算および数学的な解析によって調べた.また,同様のモデル導出の考え方をバネ質点系を用いた破壊モデルに適用し,これまで数学的な枠組みが与えられていなかった破壊現象のモデリングに対し,数学的基礎付けを行い様々な性質を調べた.(高石氏,野津氏との共同研究,論文準備中) MPS法などのメッシュフリー粒子法で用いられる差分公式について,粒子間距離に関する新たな数学的指標を提案し,その打ち切り誤差の数学的な評価を与え,その拡張を行った.(木村「粒子法研究会」での研究発表,論文準備中)
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