1. 標準値がある場合の最良正規母集団の選択 k個の正規母集団の母平均(未知)の中で標準値を超える母平均があれば、その中で最大の母平均を持つ母集団を選択する問題をIndifference-zone approachを用いて研究を行った。母分散が異なる場合を取り上げ、確率要求を満たす選択方法の研究を行った。母分散の値が既知の場合と未知の場合について、Rinott、Lam、Dudewicz and Dalalの方法にもとづく選択方法(母分散の値が未知の場合は2段階選択法)の研究、特に確率要求を満たすのに必要な標本数の比較を行った。その結果、Dudewicz and Dalalの方法が最適(必要な標本数が最小)であるが、Lamの方法との差はそれほど大きくないこともわかった。 2. 多変量正規分布の平均ベクトルの最良成分の選択 多変量正規分布の平均ベクトル(未知)の中で、最大の成分(最良成分)を選択する問題をIndifference-zone approachを用い、共分散行列が未知である場合について研究を行った。選択方法としては、n個の標本を抽出し、その平均ベクトルを求め、その成分が最大となる成分を最良成分とする選択方法を採用する。このとき問題になるのは、標本数nを確率要求を満たすように定めることである。共分散行列が未知であるとき、標本数nを予め固定すると、確率要求を満たすことができないことが分かっている。そのため2段階選択法が提案されている。本研究においては、その選択方法を改良するために3段階選択法を提案し、その特性、特に必要な標本数の比較を行った。その結果、3段階選択法は、従来の2段階選択法を改良することがわかった。
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