研究課題
本研究の目的は、事業プロジェクトや電力システムにかかわる「不確実性=リスク」の分析や価値評価問題を対象に、それらの事象を「確率力学系」としてとらえ、力学理論と数値近似法の観点からアプローチすることで新知見を得ることにある。平成23年度の成果は以下のとおりである。代表者・三澤哲也は、前年度において、確率力学系の一種の期待不変量である「効用無差別価格量」によるプロジェクト価値評価モデルを簡約化して得た「ランダムNPV高次モーメント多項式プロビットモデル」について、それから計算される投資家の「プロジェクト実行確率」をプロジェクトの価値評価に応用することを提案した。その中で分担者・宮内肇とともに火力発電プロジェクト、およびそれに撤退オプションを加味した場合の上記実行確率をそれぞれ算出し、それらの結果から我々の提案法がプロジェクトやオプションの価値を適切に表現していることを確認した。分担者・宮原孝夫は、プロジェクトの評価に適した価値尺度は何か、という研究課題について引き続いて検討し、これまでに得られた「リスク鋭感的価値尺度」がリスクと価値の両者を考慮に入れた評価法として優れていることを踏まえ、それを種々の分野に応用することを試みた。これは上記・三澤の研究の基礎にもなっている。分担者・宮内肇は、分散電源を含む電力システムにおいて、需要や分散電源出力とその増加などを確率変数で表してモンテカルロシミュレーションを実行することで、供給信頼度(アデカシー)リスクの定量的な評価を行った。その結果、長期的に見た供給信頼度の観点からは分散電源はその設置容量の約20%前後の供給力がある、と見込めることを明らかにした。以上の成果は代表者、分担者による個別の研究発表(口頭、論文)や共同研究発表の形で公表した。
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リアルオプション研究
巻: 第5巻 ページ: 1-18
Proc.of 17th International Conference on Electrical Engineering, Hong Kong, July, 2011
巻: (CD-ROM) ページ: 論文番号A066
巻: (CD-ROM) ページ: 論文番号A067
Proc.of AORC CIGRE Technical Meeting 2011, Chian Mai, Thailand, Oct 2011
巻: (CD-ROM) ページ: 論文番号P1-14