研究課題
非線形シュレディンガー方程式や非線形クライン・ゴルドン方程式など基礎的な非線形波動方程式が結合した連立方程式系の孤立波解の軌道安定性や不安定性について調べることは、物理学や工学への応用だけでなく、数学的にも重要な問題である。さて、今年度は、レーザーとプラズマの相互作用に関連したシュレディンガー型3成分の連立方程式系の孤立波解の軌道安定性に関して、ボルドー第1大学(フランス)のMathieu Colin氏及びThierry Colin氏と共同研究を行い、次のような研究成果を得た。我々の以前の研究では、1つの成分は単独の非線形シュレディンガー方程式の定在波解で、残りの2成分は0であるような半自明な孤立波解の安定性について考察し、3波相互作用係数がある閾値より小さい時は安定で、その閾値より大きい時は不安定であることを示したが、今回は、この閾値から分岐する、すべての成分が非自明な孤立波解の安定性について考察した。非線形項が斉2次である特別な場合には、分岐解が単独の非線形シュレディンガー方程式の基底状態の定ベクトル倍として具体的に表わされることを利用して、分岐解のまわりの線形化作用素を、実対称行列により対角化し、単独方程式の場合に帰着させることにより、その正値性を調べ、分岐解の軌道安定性を示すことに成功した。非線形項が斉2次ではない場合には、分岐解の局所的な存在は一般論により分るが、その漸近挙動などの具体的な情報や軌道安定性を調べることは今後の課題である。
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