研究概要 |
まず,21年度「研究の目的」であげた「なぜ商Aubry集合の完全非連結性が重要か」を調べることについて,これがHamilton-Jacobi方程式の極小一意性集合が存在するための必要十分条件と関連することが分かった。現段階で分かったのはAubry集合の連結成分が有限個の時までであるが,この場合は両者は同値になる。これに関する必要十分条件の部分については連携研究者の石井(仁)氏との共同研究として現在論文を投稿中である。さらに,これについて,昨年度1月に九州大学で講演を行った。 次に,「研究の目的」で挙げたもうひとつの目的である,n次元ユークリッド空間を領域とするHamilton-Jacobi方程式の粘性解理論の応用として,相加相乗の不等式,ヘルダーの不等式,ヒルベルトの不等式,カールマンの不等式を含む一般の不等式を導く方法のうち,不等式を導く十分条件を得ることができた。これが必要条件になるかはまだ示せてはいない。これに関しては,昨年度1月に広島大学で講演を行った。 最後に,n次元ユークリッド空間を領域とするHamilton-Jacobi方程式の粘性解に対する超縮小性に関連した不等式については,昨年度6月に京都大学数理解析研究所で講演を行った。 これらは,研究実施計画に基づくものであり当初の計画は確実に実施されたと考えている。
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