研究概要 |
平成23年度における研究実績は,以下の3つである.第1は,エルミート展開とラゲール展開に関するバーディの不等式の研究である.これは,古典的なバーディの不等式を,エルミート展開とラゲール展開に対して,以前考察したものの再研究である.古典的なバーディの不等式とは,実バーディ空間に属する関数のフーリエ級数展開を考えたとき,第n番目のフーリエ係数の絶対値を|n|+1で除したものを,すべてのnに渡って総和したものが収束し,その和は元の関数の実バーディ空間のノルムで押さえられるというものである.古典的な場合は実バーディ空間より広い可積分関数の空間では成り立たない.ところが,今回の再研究によって,エルミート展開とラゲール展開に対しては,可積分関数の空間に関して成り立つという注目すべき結果が得られた.この成果はJ.Math.Soc.Japan, 63(2011),753-767に掲載されている. 第2の研究成果は,一般メーラー変換に関して,ほぼ良い形のバーディの不等式を得たことである(佐藤邦夫氏との共同研究).一般メーラー変換は,連結な非コンパクト半単純リー群で有限な中心を持つものの球関数展開(ヤコビ変換)のある場合を含むものである.得られた結果は,学術雑誌に投稿予定である. 第3の成果は,正のフーリエ係数を持つ関数に関しては,局所的な2乗可積分性が全体での2乗可積分性を導くというウィーナーの定理の類似を,ラゲール多項式展開とディスク多項式展開に関して証明したことである.これは,投稿準備中である.
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