研究概要 |
群上のL^Pフーリエ変換は,群上の関数のL^P空間から群のユニタリ双対上の作用素値可測場のL^q空間(qはpの共役指数)への有界線型写像であるが,この写像のノルムを調べる問題を取り扱った。幕零リー群のクラスでは,これまで連結かつ単連結な群の場合に様々なノルムの評価が知られていることを踏まえ,本研究では新しい試みとして,単連結でない一般の連結幕零リー群を対象とした。この場合に,群の位相的な情報,具体的には群の中心に含まれる極大なコンパクト部分群の次元,および群のユニタリ双対の構造上の情報,即ちKirillovの軌道の方法を用いて記述すれば余随伴軌道の次元の情報,を用いてノルムの評価を与えた。この結果はスファックス大学(チュニジア)に赴きBaklouti教授と研究討論を行い,共同研究の形で得られたものである。チュニジァで開催された研究集会(JSPS-MHESRT Seminar)および日本数学会の年会でこの研究結果を発表した。また,現在発表論文の準備中である。 指数型可解リー群の既約表現におけるC^∞ベクトルの空間の構造解析に関する研究については,実函数論・函数解析学合同シンポジウムおよびスファックス大学でのセミナーにおいて研究発表を行った。例えば半単純リー群の表現論研究における類似の問題など,研究会参加者と様々な議論を行い,新しい手法の開発に向けて検討するための研究情報を得た。 また,メス大学(フランス)のLudwig教授を訪問し,群のフーリエ変換の像を特徴づける問題に関して議論を行った。これを踏まえて基本的な群の例に対して具体的な計算を実行しつつあり,今後,研究を展開するための準備を行っている。
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