研究課題/領域番号 |
21540181
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
内山 充 島根大学, 総合理工学部, 教授 (60112273)
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キーワード | 作用素関数 / ガンマ関数 / 積分核 / 固有値 / 直交多項式 / Majorization |
研究概要 |
当研究課題の目標の一つとしていた「ガンマー関数Γ(x)の主要な逆関数が作用素単調である」ことを証明した論文'The principal inverse of the gamma function'が、Proceeding of Amer.Math.Soc.140巻(2012)に掲載された。これは、ガンマー関数Γ(X)の主要な逆関数が開上半平面(あるいは開下半平面)からその中への正則関数に拡張できることを意味し、関数論として興味深い結果であると思えるが、それを作用素論の手法で証明したものである。 また、Loewner-Heinz不等式の逆についての結果を論文にまとめ、投稿中である。Loewner-Heinz不等式とは、「作用素A.Bについて0≦A≦Bならば0<≦1なる実数についてA^a≦B^aが成立するが逆は成立しない」というものである。この逆についての結果と応用をまとめたものである。 他に、外国人研究者Moslehianから依頼され共同研究した論文が、Hokkaido Math. Journalに受理された。それは有限区間で作用素単調である関数を特徴づけたもので,証明は難しくないが、意外性のある結果である。 かねてより研究を通じて知り合いであったオーストラリアVictoria大学のDragomir教授を2月29日から6日間訪問し、初の共同研究を始めた。その共同研究は、現在も継続中で、近々2編の論文にまとめる予定である。 「第50回実関数論・関数解析学合同シンポジュウム」(記念大会)(日程8月8日~10日、会場:東京女子大学)を主催し、その報告集作成のために科研費の一部を使用した。また、数理解析研究所において研究集会「スベクトル、数域などの作用素の幾何学的特性量を用いた作用素の構造研究」の代表者を務め外国入講演者を招待した。さらに、日本数学会の関数解析分科会責任評議員の責任を果たす等、学会関係の運営に貢献した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
作用素単調関数についての理論を深め、それを、ガンマ関数や直交多項式に応用することが目的であった。既にガンマ関数についてはそれを達成し、それまでの方法では多分困難であろう結果を得ることができた。さらに、直交多項式についての知見を深め、目標達成の一里塚となる結果を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
上記に述べた直交多項式についての結果を深め、全く未知の結果を導く。
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