研究課題/領域番号 |
21540188
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
森本 宏明 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (40085494)
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研究分担者 |
川口 和仁 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (30234040)
石川 保志 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (70202976)
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キーワード | 変分不等式 / 粘性解 / penalty法 / 幾何ブラウン運動 / 確率制御 |
研究概要 |
この間の研究内容は、確率微分方程式で記述される状態に対して効用関数を最大にする最適政策を決定する問題および非線形変分不等式に関する数理経済問題の解法を探求したことである。更に、これまでの長年の研究成果を下記の著書として出版することができた。これの大きな特徴は、これまで煩雑または不完全であったDynamic Programming Principleの証明のために確率微分方程式の弱解に関する山田-渡辺の定理を応用して簡潔完全なものにしたこと、それによって数理経済への幅広い応用のための数学的基礎を与えたところにある。その他の研究成果は以下の通りである。 論文(1)では、経済成長のRamsey modelにおいて有限時間に対する効用最大化問題を論じた。対応するHamilton-Jacobi-Bellman方程式は無限領域における非線形放物型となる。粘性解の手法を用いて、これを解き、その解から最適消費量を決定した。 論文(2)では、変分不等式の応用としてRamsey modelに対する配当問題を考察した。対応する非線形変分不等式を解くために、ペナルティ方程式を設定し粘性解手法を用いて、その極限として解を求めた。変分不等式の解から最適配当を自由境界に反射壁をもつ確率過程として構成した。 論文(3)では、幾何ブラウン運動の最適停止を伴う特異制御に関連する非線形変分不等式を取り扱った。2カ所にペナルティ項をもつペナルティ方程式を導入し、粘性解の手法を発展させ、その極限として非線形変分不等式の解の存在と一意性を示した。それによって最適政策を構成できることを示した。
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