| 研究概要 |
この補助金のおかげで、多くの研究成果を得ることができた。また、論文作成まで至っていないが多くの知見を得ることができた。以下では、項目11の雑誌論文リストで挙げた論文の概要について述べる。
1: 非拡大写像が不動点を特つBanach空間と、非拡大半群が不動点を持つBanach空間が完全に一致するにとを証明した。非拡大半群は無限個の非拡大写像の族であるので、この定理は、一つの非拡大写像が不動点を持つということと、ある条件を満たす無限個の非拡大写像の族が共通不動点を持つことが同値であるという興味深い定理である。
2: Reichの問題の1つであるHalpern収束の係数問題に関する研究をした。収束するための必要条件を改良した。また従来、最良の十分条件と思われていたCho,Kang,Zhou(2005)の条件が最良ではなく、Wittmann(1992)の条件が最弱な十分条件であることを示した。この論文で得られた必要条件とWittmannの十分条件は似ており、完全解決への一歩になると期待している。
3: Kannanの不動点定理の改良をした。また、この論文での改良方法と同じ方法では、これ以上改良できないことも示した。
4: Subrahmanyamの不動点定理を限界まで改良した。具体的には、Subrahmanyamの不勲点定理の結論と同値になる条件を求めた。
5: cyclic mappingに関するbest proximity pointの存在定理を証明した。従来、Banach空間の枠組みで研究されていたものを完備距離空間の枠組みで研究した。
6: Edelsteinの不動点定理を拡張した。この拡張定理の結論は、不動点が唯一存在するというものだが、{T^nx}が不動点に収束しない。距離空間の枠組みでこのような定理は大変珍しい。
7: Banach空間の1_∞による直積空間が一様non-1^n_1性を持つことについて、必要十分条件の形で定理を与えた。応用として、非拡大写像の不動点定理を証明した。
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