質量パラメータmが正のディラック作用素について、閾値エネルギーが固有値である場合に、固有空間の構造を詳しく調べた。まず、ワイル・ディラック作用素が磁場のポテンシャルのみを持つ場合のゼロ・モード、ゼロ・レゾナンスに関する結果を拡張して、一般のポテンシャルをもつディラック作用素に対して、固有空間の構造を調べた。その際、スーパー・シンメトリック・ディラック作用素(抽象的ヒルベルト空間における抽象的ディラック作用素)に抽象化して議論を進めた。特に、m=0として得られるワイル・ディラック作用素のゼロ固有値に属する固有空間と、m>0の場合のディラック作用素の閾値エネルギーでの固有空間との関係を解明した。その結果を用いて磁場のポテンシャルが短距離型の場合に、閾値エネルギーを固有値にもっディラック作用素の固有関数の無限遠における漸近挙動を解明した。
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