研究概要 |
フランス・ボルドー大学のJean-Francois Bony、パリ南大学のThierry Ramond、パリ北大学のMaher Zerzeriとの共同研究により、ハミルトン系の双曲型不動点の近傍における超局所解の伝播についての研究(当研究課題による)の応用として、シュレディンガー作用素のポテンシャルの非退化な最大点において、次の4つの問題を解決した。 (1) レゾルベント評価 (2) 各レゾナンスへの射影作用素の準古典漸近展開 (3) 散乱振幅の留数 (4) シュレディンガー時間発展作用素のレゾナンスによる表現 (1)のレゾルベント評価については、これまで実エネルギーに対する評価(Nakamura)が知られていたのを複素エネルギーにまで拡張した。(2)は前年度の研究成果である、ハミルトン系の双曲型不動点の近傍における接続公式を用いることによって計算できる。(3)の散乱振幅の留数の計算は、(2)の一つの応用である。散乱振幅の留数については、Lahmar-Benbernou, Martinezが島の中の井戸型ポテンシャルの場合に研究を行ったのが最初で、以降この結果を含む一般化がおこなわれてきた(Michel. Stefanov, etc。)が、我々の結果はこれらいずれの理論にも含まれない。(4)のシュレディンガー時間発展作用素のレゾナンスによる表現の中に、各レゾナンスへの射影作用索が現われる。先行する研究としては、やはり島の中の井戸型ポテンシャルの場合のNakamura, Stefanov, Zworskiによる結果がある。
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