昨年度開発した時間分割近似法の多重振動積分を直接扱う方法で、区分的に定数となる経路を用いて、Hamilton型経路積分の時間分割近似法が広義一様収束する一般的な汎関数のクラスの条件を求め、さらにHamilton型経路積分において、Riemann積分との順序交換定理、極限との順序交換定理、摂動展開、準古典近似などの極限演算が成立するかを調べた。位置と運動量を同時に測定できないという不確定性原理があるため、また区分的に定数となる経路は近似として荒いため、予想通り、一見不自然な条件となった。来年度はさらに他の数学的演算ができる限り成立するように、経路を用いて、できる限り自然な条件に書き換え、Hamilton型経路積分を使いやすい数学理論にする予定である。口頭発表として、4月26日に名古屋大学のセミナー、5月26日に京都大学数理解析研究所の研究集会、7月13日にワシントンD.Cでの国際会議「Path Integrals 2010」、11月12日に岡山大学での研究集会「確率解析とその周辺」、11月20日に東京大学GCOE研究集会「超局所解析と偏微分方程式」、12月10日に英国のImperial College Londonの研究集会「Microlocal day #2」で講演を行った。また、経路積分について多くの人に興味を持っていただけるように、5月25日~28日に京都大学数理解析研究所で入門的研究集会「経路積分と超局所解析の入門」を企画し、数理解析研究所講究録として編集した。また3月にインドのTIFR-CAMで、時間分割近似法による経路積分の理論について4回講義を行った。
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