研究概要 |
(1)一般化された特異積分作用素のハーティー空間上での有界性に関しては以下の結果を得た. n次元ユークリッド空間上の電気2重層ポテンシャル作用素 Tf(x)=∫A(x)-A(y)-▽A(y)・(x-y)/(|x-y|^2+(A(x)-A(y))^2)^{(n+1/2)}f(y)dyが▽Aのリプシッツ連続の仮定の下でハーディー空間から局所ハーディー空間への有界作用素であることを証明することができた. これはconvolution型ではない特異積分作用素のハーディー空間上での有界性を「T1=0という強い条件を仮定しないで示す」という一連の研究のなかで得られたものである. (2)測度に2倍条件を仮定しないnondoubling measure空間の研究に関しては以下の結果を得た. 以前に我々が導入した重みのクラス A_p(k)={w:(1/|kQ|∫_Qw(x)dx)(1/|Q|∫_Qw(x)^{-r}dx)1/r<C},r=1/(p-1) において,修正Hardy-Littlewood最大作用素の重み付きL^p評価を得ていたが,Dachun Yang氏の論文(2008)でこの重みのクラスが最良であるかどうかが問題として提出されていた. この問題に対して反例を作ることにより,この重みのクラスが最良であることを示した. (3)今年度から始めた多重線形特異積分素については,山形大学の飯田,佐藤氏との共同研究で以下の結果を得た. 多重線形fractional積分(簡単のため本文で2重の場合を記す) I_α(f,g)(x)=∫∫f(y)・g(z)/|(x-y,x-z)|^{2n-α}dydz が重みつきMorrey空間の直積空間上で有界であることを示した. これはTangとKomori and Shiraiの結果の拡張になっている.
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