Eugen Varvaruca氏(インペリアル・カレッジ・ロンドン)と、最新の自由境界問題及び幾何学偏微分方程式における方法を水面波の解析へ適用した。昨年度ではまず拡大ストークス予想を示した。 つまり、2次元の水面波の自由界面がある関数のグラフならば、特異点は120度の角しかない。この結果はすでにストークスに予想されたが、19世紀の数学では証明不可能だった。1980年代に初めて数学的にC.J.Amick-L.E.Fraenkel-J.F.Toland、 P.I.Plotnikovにより証明された。我々の方法は複素平面の変換を使わず、元の変数で速度ベクトル場が同次関数に近いことを示す方法である。結果として以前のC.J.Amick-L.E.Fraenkel-J.F.Toland、 P.I.Plotnikovによる証明の仮定を弱めることができ、渦度のある水面波も扱えるようになった。 拡大ストークス予想証明の論文「A GEOMETRIC APPROACH TO GENERALIZED STOKES CONJECTURES」はActa Mathematicaにアクセプトされ、水面波グループに非常に快く受け入れられた。 さらに、Guanghui Zhang氏(東大・数理)との共同研究で、表面張力のついた2次元水面波が特異点を持たないことを示した。表面張力のついた水面波方程式はMumford-Shah問題に近いので、テクニカルの面では決して簡単な問題ではない。
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