研究概要 |
対称性を仮定しない有界領域Ω(⊂R^N,N≧3)において、Dirichlet,条件下のBarhi-Coron問題(*)-Δu=u|^<4/N-2>u解の多重性を示した。この問題は交付申請書に書いたHenon方程式-Δu=|x|^α|u|^<4/N-2>uのαが0の場合に対応する。小さな穴があいた領域において、(*)の正値解の存在をCOronが示し、ホモロジー群が非自明な領域であれば正値解か存在することをBahri-Coronが示した。一方、可縮な領域でも、正値解か存在し得ることをPassaseoらが示している。最近、Coronの結果と同じ仮定の下で、(*)が少なくとも2つの解を持つことをClapp-Wethは得た。本研究では、Pasasseoら結果と同じような仮定の下で、(*)が少なくとも2つの解を持つことを示した。Clapp-Wethは、fixed point transferと呼ばれるトポロジーの道具を証明に用いているが、よく知られている写像度の理論を使い、簡明な証明を与えた。 楕円幾何や双曲幾何を用いて、ユークリッド空間の開単位球におけるDirichlet境界条件下の楕円型方程式Δu+f(|x|,u)=0の正値解の対称性についての結果を得た。この問題は、SerrinやGidas-Ni-Nirenbeigの研究を発端として、多くの研究者による拡張が得られている。Naito-Suzukiは、双曲幾何を用いて、Gidas-Ni-Nirenbergの結果の拡張を得ていた。本研究では、双曲幾何だけではなく、楕円幾何を使うことも有効であることを示した。非線形項f(|x|,u)が非負の値を取る場合は双曲幾何を用いることが最も有効であるが、そうではない場合は、双曲幾何よりも楕円幾何を用いる方が有効な場合があることを例を用いて示した。
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