研究概要 |
楕円型方程式の球対称解の一意性についての研究を発展させた。非線形項の巾が臨界指数の場合の調和ポテンシャルを持つ非線形シュレディンガー方程式は、2次元の場合についても、Hirose-Ohtaにより正値解の一意性の結果が得られているが、文献[1]の方法では、2次元の場合には一意性が証明できていなかった。また、Haraux-Weissler方程式の正値球対称解の一意性については、2次元の場合は全く未解明であった。Pohozaevの等式を定義した関数を用いて新たな関数を定義し、その関数を使って文献[1]とは異なる一意性の判定条件を得た。その結果を適用すことにより、これらの方程式の2次元の場合の正値球対称解の一意性についての結果を得た。 分数巾ラプラシアンを用いた問題(-Δ)**s=u**((N+2s)/(N-2s)) in Ω, u=0 on ∂Ωを考え、Ωに十分小さい穴があいている場合に、正値解の存在を示した。穴をあけるというのは、Ωは可縮ではないようにあけるということである。s=1の場合が通常のラプラシアンに対応し、Coronによってこの問題は解かれている。分数巾のラプラシアンの場合も、穴が十分小さい場合には、Palais-Smale条件が崩れるレベルをcとしたとき、穴が十分小さいこととΩが非可縮であることを用いて、(c,2c)において臨界値が存在することを示した。分数巾ラプラシアンの場合でも、2cを越えないレベルで得られる解は符号変化しないので、正値解を得たことになる。
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