研究課題
本研究の目的は、変分法・常微分方程式論的アプローチを主体とし、特異摂動法、関数解析等の方法を用いて、非線形楕円型方程式の固有値、固有関数の漸近的性質を解析することである。特に本年度は1つのパラメーターを含む問題の固有値に関する漸近展開の公式の確立、逆問題的考察に焦点を絞った。(1) 1つの固有値パラメーターを含む常微分方程式の固有値問題については、ロジスティック方程式、単振り子の方程式のような、生物学的、物理学的背景を持つ方程式に関して、方程式に摩擦項を含むような場合を考察することは重要である。これに関しては常微分方程式論的アプローチにより詳細な漸近挙動の公式を確立することに成功した。また非線形項の主要項がpべきであるものに対して、非線形項に摩擦項を加えたとき、その項を反映した、詳細な漸近展開公式を確立することに成功した。(2) (1)で確立した解の分岐曲線に関する漸近展開公式を逆問題的視点から考察することを目標とした。具体的には非線形方程式の分岐曲線の大域的な振る舞いから、その方程式に含まれる非線形項をどのような精度で特定できるか、また再構成は可能か、考察する方程式にふさわしい逆問題としてのセッティングはどのようなものか、分岐曲線と非線形項は1対1対応であるかなど、まったく新しい視点からの逆問題の考察について、今後の非線形固有値問題の逆問題の研究の基礎となる基本的な結果を確立することを目標に研究を進め、ある条件のもと、分岐曲線と非線形項は1対1対応であることを証明した。
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Electronic Journal of Differential Equations 2009,No.107
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Electronic Journal of Differential Equations 2009、No.142
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