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2010 年度 実績報告書

非線形分散型方程式の解のダイナミクス

研究課題

研究課題/領域番号 21540220
研究機関九州大学

研究代表者

水町 徹  九州大学, 大学院・数理学研究院, 准教授 (60315827)

キーワードKP-II / L^2安定性 / line-soliton / 一次元非線形シュレディンガー方程式
研究概要

浅水波を記述するKP-II方程式のline solitonの安定性について研究した.KP方程式は波の横方向への緩やかな変化を取り入れるように,KdV方程式を空間変数2次元の方程式に拡張したモデルであり,特に表面張力の効果が無視できる場合を記述するモデルをKP-IIとよぶ.
line soliton解はKdV方程式の1-soliton解と同様に,KP-II方程式の保存則の臨界点となるが,KP-II方程式のHamiltonianはハミルトニアンはKdV方程式の場合と異なりその主要部が不定符号であるため,line-soliton解のモース指数は無限大になる.従ってGrillakis-Shatah-Straussのように方程式の変分構造を利用した方法は適用できず,関数解析的なアプローチでは安定性の証明がなされていなかった.本年度のTzvetkov氏との共同研究で,$L^2(R_x\times T_y)$のクラスでline solitonの安定性を証明した.証明のアイデアはMiura変換により,KP-II方程式のline-soliton,mKP-IIのkink解とKP-II方程式の$0$-解を結びつけ三者の安定性が同値であることを示したことである.
この研究はMerle-Vega('03)のKdV1-solitonの$L^2$-安定性をより洗練させたものになっており,multi-solitonの安定性も同じ方法で直接証明できると期待される.
Miura変換は可積分系の方程式の解を結びつけるBacklund変換の一種であるが,Pelinovskyとの共同研究でBacklund変換を用いて一次元非線形シュレディンガー方程式の1-soliton解の安定性が0-解の安定性と同値であることを証明し,結果として1-soliton解の$L^2$-安定性が証明できた.一次元非線形シュレディンガー方程式はAKNS系の代表例であり,今後他のモデルへの応用も期待できると思っている.
その他に,離散非線形シュレディンガー方程式の研究をPelinovskyと共同で行い,定常波解の漸近安定性を従来(7次)よりも低い冪(5.5+0)に対して証明した.

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公開日: 2012-07-19  

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