原始惑星系円盤における熱的不安定の計算結果、および渦形成のシミュレーションの結果に基づき、生成される渦の流れ場のモデル化し、渦存在下での原始惑星系円盤における微惑星形成に対して、新たなメカニズムを考察した。ダストの渦への流入過程、渦中心への落下過程、渦中心での微惑星形成過程をガス・ダスト2流体モデルによって計算し、ダストが中心部に集中する過程を記述する半解析解を確立した。数値流体コードによる計算との比較を進め、われわれの得た半解析解が、中心領域に集積する惑星材料物質の上限を与えることを確認した。従来の研究では1m程度のサイズの岩塊が渦中心に集まることで微惑星が形成すると考えられてきたが、本研究により1mm程度のサイズのダストでも、数百年と見積もられる渦の寿命内に、渦中心のダスト面密度は微惑星形成に必要な値を超えることが分かった。太陽系のもととなった原始惑星系円盤の標準モデルに従えば、1天文単位の領域においては、形成される1つの渦において月質量の半分程度のダストが中心集中することが分かり、これらは重力不安定により微惑星を形成すると考えられる.このように集中した領域に生成された微惑星は重力相互作用により短時間で集積し、周囲のダストも合体することで、月質量から水星質量(0.01-0.05倍の地球質量)の原始惑星に成長することが分かった.よって、原始惑星系円盤の動径方向に対して渦生成率が明らかになれば、惑星形成過程が記述できるので、今後、そのような方向での更なる研究を進展が望まれる.
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