研究課題
南アフリカ天文台サザーランド観測所にわが国が設置した赤外線望遠鏡IRSFと3色同時撮像装置SIRIUSに偏光測定ユニットSIRPOLを搭載し、銀河系の中心部と銀河面に沿った領域および星形成領域のJ、H、Ksバンド偏光観測を行なった。銀河系中心部の2度×2度の領域の偏光観測から、磁場構造をとらえた。また、すばる望遠鏡に搭載した観測装置CIAOと偏光計を使った銀河系中心部の高解像度偏光観測のデータを解析している。さらに、へび座分子雲の近赤外線偏光観測から、磁場が砂時計型の形をしていることを見出した。まず、銀河系中心部の広い領域の偏光観測では、減光を多く受けた点源とやや減光の少ない点源の差を利用して、中心部数百パーセクでの磁場によって向きがそろえられた星間ダストに起因する偏光成分を導き出した:銀河面から0.4度(投影した距離で60パーセク)以内では磁場が銀河面に平行に走り、それ以遠では磁場が銀河面に垂直方向へと向きを変えている。従来、電波や遠赤外線による観測で個別の領域で磁場の方向が決定され、その非一様性が指摘されてきていたが、広い領域を観測してこのようなスムーズな磁場方向の変化をとらえることができたのは初めてである。ApJ Letter誌に発表した。銀河系中心部の高解像度データからは、Herbig Be星クラスの、年齢10^6年程度で周囲にダスト円盤を持つと考えられる天体の候補を選び出し、日本天文学会で発表した。これらの星は、銀河系中心部の若い星の起源の議論に重要なカギとなると考えられる。また、近傍の活発な星形成領域へび座の分子雲コア領域の近赤外線偏光観測から、波長依存性を用いて点源の偏光が磁場によるものと決定した。偏光の方向から磁場構造が砂時計型をしていることを見出し、磁場によって分子雲の収縮を支える力のつり合いの議論からその強さを推定し、ApJ誌に発表した。
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The Astrophysical Journal
巻: 716 ページ: 299-3140
The Astrophysical Journal Letters
巻: 722 ページ: L23-L27
http://www.kusastro.kyoto-u.ac.jp/~nagata/Gcpol_lambda/index.htm