研究概要 |
本研究の目的は、作業仮説である「連鎖集積シナリオ」に沿って木星や土星の形成過程を大規模惑星集積シミュレーションを行うことによって明らかにし、太陽系の構造の起源を解明すること、そしてこの結果を応用することによって多様な惑星系の構造の起源を明らかにすることである。 連鎖集積シナリオを検証するためには、大域的な惑星集積のシミュレーションを行う必要がある。これを可能にするため、本年度は、専用シミュレータ「太陽系形成シミュレータ」を構築した。太陽系形成シミュレータは、重力多体問題専用計算機GRAPE-DRと並列ホストコンピュータからなる。GRAPE-DRは多体シミュレーションでもっとも計算時間のかかる粒子どうしの重力相互作用を超高速で計算する専用ハードウェアである。さらに太陽系形成シミュレータ用に機械語レベルで最適化した並列多体シミュレーション用コードを開発した。多体シミュレーション用コードの数値積分公式には惑星系多体シミュレーション用に改良したエルミート積分法(Kokubo et al. 1998, Kokubo & Makino 2004)を用いた。現在、太陽系形成シミュレータを用いて、試験的に大域的な原始惑星形成のシミュレーションを行い、システムを最適化しつつ、寡占的成長について調べている。 また、連鎖集積シナリオについて議論をするために、滞在型研究会The Dynamics of Discs and Planets (Cambridge)とThe Theory and Observation of Exoplanets (Santa Barbara)に参加した。
|