本報告は、3年計画の最終年度に関するものである。 急激に成長している銀河中心ブラックホールと考えられるBroad Absorption Line Quasar(BALQSO)とNarrow-Line Seyfert 1 Galaxy(NLS1)の活動性を、超長基線電波干渉計(VLBI)を用いて、世界で初めて系統的に直接撮像によって明らかにする研究計画である。 最終年度の研究計画は、(1)Japanese VLBI Networkを用いたBALQSOの観測を開始する(2)SDSSBALQSOのVLBA多周波偏波イメージングの研究成果をまとめる(3)Young Radio Galaxy BALQSOのVLBAイメージングの研究成果をまとめる(4)Radio-Loud NLS1のVLBAイメージングの研究の学術論文を発表する、であった。それに対し、年度終了時でのそれぞれの研究の状況は、(1)BALQSOとの関連が考えられる超高光度赤外線銀河を観測中であり、2天体のデータを取得した、(2)まもなく投稿する、(3)研究が進まなかった、(4)学術論文が出版された、である。 年初の計画には無かったが、NLS1に電波銀河の活動性を発見し、その成果を学会で発表した。また、主にイタリアとの共同研究が進み、NLS1のVLBI観測による研究プロジェクトがいくつか並行して進み、その1つは学術論文として年度内に出版された。 研究期間の3年間は、BALQSOとNLS1の研究分野が急激に発展した時期となり、科学研究費補助金に援助を受けた本研究の推進は大変時宜を得たものとなった。我々の電波干渉計を使った独特の研究アプローチがそのなかで重要な役割を果たすことができたと考えている。
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