• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2009 年度 実績報告書

非可換空間上の位相的ソリトンと低エネルギー物理現象

研究課題

研究課題/領域番号 21540254
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

江澤 潤一  独立行政法人理化学研究所, 川合理論物理学研究室, 客員研究員 (90133925)

キーワード非可換空間 / 非可換ソリトン / 量子ホール効果 / トポロジカルソリトン / スカーミオン / メロン対 / 量子位相 / 2層量子ホール系
研究概要

近年,非可換空間上の場の理論に現れるトポロジカル・ソリトンが注目されている.非可換空間が実現している最も単純な系は量子ホール系である.この系には,非可換性に起因する量子位相現象として非可換ソリトンが現れる.この様な状態は電子状態にW_∞変換とよばれるユニタリー変換を施して生成できる.さて,2層量子ホール系では,横磁場の進入により2層間にサインゴードン・ソリトンができる.横磁場がcommensurate-incommensurate相転移点より大きくなると,このソリトンは格子を組み,ソリトン格子状態になる.一方,熱励起により非可換スカーミオンが生成される.本年度は,両者の散乱過程を非可換空間で微視的に記述する方法を探求した.具体的には,サインゴードン・ソリトンを背景場として扱い,そのうえに非可換スカーミオンの量子力学的微視的状態を構築して両者の相互作用を解析した.相転移点近傍で,両者が散乱して,電流に異常縦抵抗が発生する現象について理論的考察を行った.成果は原著論文としてRep.Prog.Phys.に発表した(項目11の研究発表に記載).なお,この異常縦抵抗は私の属する実験グループが世界で最初に観測に成功している.活性化エネルギーの精密測定を行い,上記の理論的考察から帰結される結果と一致する結果を得たのである.成果は原著論文としてPhyscal Review Bに発表した(項目11の雑誌発表に記載).また,これらの理論的および実験的成果は第18回2次元電子系国際会議(神戸市,7月)でも発表した(項目11の学会発表に記載).上記の,2層量子ホール系にソリトン格子状態が生成されており,これが電子との散乱で異常縦抵抗を発生させるという量子位相現象は私の独創的な概念である.これが実験的検証された,という学問的意義は大きい.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Activation study of collective excitations of the soliton-lattice phase in the ν=1 double-layer quantum Hall state2010

    • 著者名/発表者名
      D.Terasawa
    • 雑誌名

      Physical Review B 81

      ページ: 73303-73306

    • 査読あり
  • [雑誌論文]2010

    • 著者名/発表者名
      Gerald E Brown
    • 雑誌名

      The Multifaceted Skyrmion(World Scientific)

      ページ: 233-267

  • [雑誌論文] Quantum Hall Ferromagnets2009

    • 著者名/発表者名
      Z.F.Ezawa
    • 雑誌名

      Reports on Progress in Physics 72

      ページ: 86502-86533

    • 査読あり
  • [学会発表] Skyrmion and Bimeron Excitations in Bilayer Quantum Hall Systems2009

    • 著者名/発表者名
      Z.F. Ezawa
    • 学会等名
      The 18th International Conference on Electronic Properties of Two-Dimensional Systems
    • 発表場所
      神戸国際会議場(神戸市)
    • 年月日
      2009-07-23

URL: 

公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi