研究概要 |
1:クォーク閉じ込めの双対超伝導描像に基づけば,4次元ユークリッド空間では閉じたループ状の磁気モノポールの存在がクォーク閉じ込めに不可欠である。我々の提唱するゲージ不変な磁気モノポールの定式化を用いて,ヤンミルズ場の古典解のうち,従来調べられた位相的配位である1インスタントン解と2メロン解を越えて,Jackiw-Nohl-Rebbiの2インスタントン解として知られるSU(2)ゲージ場から,4次元ユークリッド空間でループ状の磁気モノポールカレントが存在することを実際に数値計算で示した。2インスタントン解は閉じ込めに効く位相的配位の候補と考えられる。 2:有限温度における閉じ込め/非閉じ込めとカイラル対称性の破れ/回復のクロスオーバー相転移をQCDの第1原理から導出することを目指し,そのための低エネルギー有効理論をQCDから出発して直接得るための理論的枠組みを与えた。実際,この有効理論は,元々のポリャコフループ拡張された南部-Jona Lasinio模型(PNJL模型)を改良することで最近提唱された非局所的PNJL模型を更に変更・拡張したものと等価であり,簡単な近似を用いるだけで両相転移を同時に対等に扱うことを可能にする。得られた新しい側面は,非局所的南部-Jona Lasinio結合定数がポリャコフループと温度にあらわに依存することであり,従来のPNJL模型において共変微分を通じて導入された交差項に加えて,閉じ込めとカイラル対称性の破れの絡み合いに影響を及ぼす。カイラル対称性の破れ/回復相転移が非局所的南部-Jona Lasinio相互作用によって制御され,閉じ込め/非閉じ込め相転移は最近得られたポリャコフループに対する非摂動的有効ポテンシャルで特定される。ここで用いられる基本的な方法は,新しい変数を用いるQCDの再定式化とウィルソン流くりこみ群におけるWetterich型方程式である。
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