研究課題
4He原子核とニュートリノの反応による4Heの励起(或は応答)関数ならびにニュートリノ反応断面積を評価することを目的とした研究であった。4Heの励起状態はすべて連続領域にあるために、基底状態から束縛した励起状態への遷移確率を求める以上の工夫が必要であり、定量的に満足できる計算法を確立することをまず目指した。閾値近傍での励起関数のエネルギー依存性を非常に正確に予測することは容易ではないが、連続状態を離散化する複素回転法がおおむね有力であることを示した。この重要な結論は、弱い相互作用と似た電気双極子モードについて検討した結果に基づいている。すなわち、現実的核力に基づいて4Heの光吸収断面積を計算し、実験データやR行列理論計算と詳しい比較検討を行い論文を発表した。すでに弱い相互作用のスピン双極子やガモフテラー遷移の行列要素の計算は出来ており、連続領域の終状態に対応した基底の構成の処方箋も得ているので、まもなく研究目的として掲げた計算に取り掛かる予定である。ある演算子に応じた連続領域の励起関数を求めることは普遍性のある課題であり応用例も多い。特に3粒子の連続状態からなる場合は、α+α+α→12Cのtriple反応が有名な例である。ホイル状態以下のエネルギーでの反応率が従来の予測値よりはるかに大きいのではないかという論文が発表されて、それが正しいかどうか徹底した検討が待たれている。本研究で得た成果を踏まえてこの課題に取り組めないか検討した。第一点は、電荷をもった3粒子の漸近的振舞いを超球面調和関数の方法で検討し、クーロン波動関数との関係を明確にしたこと、3粒子の有効電荷がある一定の値に収束するらしいという予想を得たが、まだ十分な説明に至っておらず更に検討したい。第二点は、極めて低いエネルギーをもった3粒子系の基底を十分に用意する必要があるが、ガウス関数よりは指数関数を用いたほうがよいこと、そしてそれを用いた計算が可能であるという有用な結論に至った。これらの成果を次に活かしたい。
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