ディラック電子系として注目されるグラフェンについて、その"相対論的"な真空構造やゲージ量子異常に由来する諸特性を探求した。通常の電子系には類のない、以下の特質を明らかにした。磁場中のグラフェン二層系には殆ど縮退した擬ゼロ・モード・ランダウ準位が現れるが、電子間相互作用の下でこれらの準位に軌道混合が起こり、(1)電気二重極をもつ新種の集団励起が出現しうる、その一方で(2)価電子帯の量子ゆらぎにより水素原子のラム・シフトに類似した微細準位分離が生じる。さらに、グラフェンでは(3)強い量子ゆらぎを通してサイクロトロン共鳴に多体効果が生じる。
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