SDSS銀河分布の多重極パワースペクトル解析において、ウィンドウ効果について新しい解決方法を開発した。これまでのパワースペクトル解析では、FKP法と呼ばれる方法を用いていたが、この場合、サーベイ領域の大きさに依存したウィンドウ関数が畳み込まれる。理論との精密な比較にはこのウィンドウ効果に注意する必要がある。領域が十分広ければこの影響は小さいが、多重極パワースペクトル解析を高速フーリエ変換(FFT)を用いて行う場合、銀河サンプルを比較的小さなサーベイ領域に分割して解析を行う必要があり、ウィンドウ効果の影響が大きくなり問題であった。今年度の研究では、研究協力者とともに、フーリエ解析における逆畳み込み法を用いて、ウィンドウ効果を取り除いた多重極パワースペクトルの測定法の開発に初めて成功した。この成果は、今後の精密なパワースペクトルの測定で重要になると期待される。 また、加速膨張を説明する拡張重力理論の模型の構築を行った。ガリレオン重力模型が加速膨張を説明し、またヴァインシュタイン機構により太陽系スケールの重力の制限を回避する模型として注目を集めている。研究協力者の木村蘭平氏とともにこの模型を拡張してあるパラメーターnが無限大の極限で宇宙項模型とつながる模型を提案し、宇宙論的帰結を議論した。宇宙の膨張史と線形密度揺らぎの進化を明らかにし、またIa型超新星、銀河の大規模構造からの観測的制限も調べた.
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