これまでの研究で無視していたニュートリノ輸送の効果を一次元的なLeakage schemeとその拡張版を用いておこない、QCD相転移が超新星爆発に有利な影響を与えるか調べる準備をした。大質量星の超新星爆発は目下のところ数値計算で再現できていないとされてきたが、太陽の13倍の質量をもつ星に限れば、ニュートリノを入れても、磁場を回転があれば爆発することを示すことができた。よってQCD相転移の効果により、さらに爆発エネルギーが増加することも予測できた。QCD相転移のモデルとして、コラプサーモデルも視野にいれられる段階に入った。従来はニュートリノの効果や、相転移の効果は無視していたが、今年度からモデル化がほぼ可能になってきた。 最大の成果としては、中性子星、クォーク星の冷却曲線を計算し、既存の観測値と詳細に比較検討した。特に、最近のトピック的テーマであるCasAの観測との整合性を調べた。その結果、クォーク・べータ崩壊による冷却が可能なモデルとして、クォーク/ハドロンの共存相の必要性を明らかにしたので、現在Astrophysical Journal Letterの投稿準備中である。この応用として、低質量星と高密度星から成る連星系でのX線バーストにクォーク冷却が及ぼす影響を適用することが可能となった。
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