1)QCD相転移を含む状態方程式を超新星爆発に適用し、流体力学とニュートリノ輸送のシミュレーションを行った。この課題は爆発のダイナミックスとの関連を重力崩壊で中性子星ができた後QCD相転移を起こし、クォークコアができた場合を調べることにより、QCDモデルパラメータを制限するべく準備を進めたが、QCD相転移がクロスオーバーと判明したためシナリオの変更が必要となり相転移なしでニュートリノ輸送を近似的に含めることには成功した。 2)高密度星の熱的進化と冷却曲線においては、相転移によりクォーク星(ストレンジ星)が形成された場合、特殊なニュートリノ放出過程が超新星爆発にどんな影響を及ぼすかを調べた。さらにハイブリッド星の冷却曲線の計算へとつなぎ、カラー超伝導の効果も取り入れ、特にクォークとハドロンの混合相について詳しく調べた結果、超新星残骸CasAの中心部に見つかった高密度天体の冷却曲線を再現するパラメータを発見することができた。特に、CasAの中心天体の冷却曲線が最近10年間詳細に観測されており、その説明には適度の冷却が必要であり、標準冷却モデルでは説明できない。我々のモデルは混合層に核子の超流動相転移をパラメータ化し、CasAの観測値を説明することができるパラメータを制限した。今後の課題としては、最近のコンパクト星の質量の観測も含めて再現できるような硬い状態方程式の構築と混合層の共存が可能かどうか精査する必要がある。 3)非一様初期宇宙初期モデルの構築と重元素合成について非一様モデルを用いて、4000個の元素からなる核反応ネットークにより宇宙初期元素合成と重元素合成を行い、WMAPと新たな観測との整合性を見出しすことは一応できたが、仮定したQCD相転移モデルのパラメータを制限するまでには至っていない。これはQCD相転移がクロスオーバーであるため非一様のシナリオが成り立たなくなったためである。しかし、非一様元素合成が観測と一応無矛盾なことがシミュレーションにより判明した。
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