今年度は、高密度天体周辺のプラズマにおける放射過程について研究を行った。ブラックホールや中性子星を取り囲む隆着円盤が存在することはよく知られている。この降着円盤においては、電子の運動が相対論的になるような高温のプラズマが存在する。このような超高温プラズマにおける放射過程はまだ十分に研究し尽くされていない。我々は、このような超高温プラズマにおける雷子-電子制動放射率を計算し、Astronomy and Astroohvsicsに論文を発表した。我々の計算結果は、これまでの研究結果の精度をはるかに上回るものであり、この分野での研究に大いに役立つものと期待される。 2009年はガリレオが自作の望遠鏡で天体を観測してから400年の記念すべき年にあたり、国連により国際天文年と定められた。我が国を含む世界中の諸国で多くの記念行事が行われた。この記念すべき年に、研究代表者は、ガリレオゆかりのイタリアのピサ大学に招かれて、ガリレオ講演を行った。これは、我が国の天文学会と物理学会にとっても大いなる名誉ではないかと研究代表者は考えている。 広い意味で本究課題に関係する、Sunyaev-Zeldovich効果にについ、Physical Review Dに論文を発表した。これにより、相対論的Sunyaev-Zeldovicn効果の数学的側面が非常に明らかになった。 さらに、逆コンプトン過程に関する論文を書き上げ、Physical Review Dに投稿した段階である。来年度は、これらの研究をさらに発展させるべく、研究計画を策定中である。
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