研究概要 |
素粒子と宇宙物理にはヒッグスとインフラトン(インフレーションを担う場)という2つの特有なスカラー場がある.高次元ゲージ場がそれらの起源であるという考えに基づいて,インフレーション模型のfine tuning問題の解決を目指すのがこの研究の目的である. 初期宇宙論では,インフレーションと並んで宇宙の密度ゆらぎの原因が何かが重要な問題である.curvatonというスカラー場が存在して,この場がゆらぎの原因であるという考えが,Lyth氏などによって研究されている.6次元ゲージ理論を考えるとインフラトンとcurvatonが自然に出て来る.この視点から,高次元ゲージ理論に基づいたインフラトンとcurvatonの模型を作り,インフレーションの観測量と密度ゆらぎが説明できるか調べた.インフラトンとcurvatonの存在が必要か,インフラトンだけでインフレーションと密度ゆらぎが説明できるのかに答えを出したいというのが1つの動機である. 我々の詳しい解析から,curvatonからのゆらぎへ寄与はインフラトンからの寄与に比べて小さいという結果が得られた.Lyth氏などの以前の研究とは異なる結果である. 向山氏は、1.インフレーション中の軽い場の効果の解析、2.Gradient expansionを用いた宇宙論的非線形摂動の解析、3.ブラックホールに関する余剰次元の効果、4.新しいHorava-Lifshitz量子重力理論に基づく宇宙論、5.ゴースト凝縮に基づく宇宙論、等についての研究を行った.
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