研究概要 |
ソリトンの解空間を知ることによって、低エネルギー有効理論の力学変数を理解することができる。今まで非アーベル的対称性を持たない場合のソリトンについては、有効理論を含めた理解が進んできていた。本研究では、ソリトンの力学の解明を進展させるために、ヒッグス相で真空が縮退した場合について、非アーベル対称性を持つソリトン解を研究した。特に中心的に取り上げたソリトンは、超対称性電荷を8個持つゲージ理論で、超対称性を部分的に保存するソリトンである。このようなソリトンをBPSソリトンと呼ぶ。真空が縮退していない場合には,超対称性が部分的に保たれているソリトンの解空間はかなり理解が進んでいる。それに対して,真空に縮退がある場合には,一般に解が大域的対称性を持つようになり,しばしば内部空間のオリエンテーション・モジュライが生じて,非アーベル的な構造を持つ。その結果,低エネルギー有効理論にも非アーベル的対称性が現れることがしばしば起こる。このような状況が起こる場合として,ドメーン・ウォールの系については,詳しい解析を行い、弦理論におけるDブレーンとの対比を行った。一方、ボーテックスのドメーン・ウォールが共存するような場合には,磁気単極子も許される。このような複合ソリトン系の力学は、理解が全く進んでいなかった。このような複合系の有効理論を構築し、何が力学変数になるか、また、どのような一般的な力学が生じるかを明らかにした。
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