研究概要 |
わたしは1980年にCarterと共に小林・益川理論が予言するB中間子における大きなCPの破れを発見し,同年にBigiと共にGolden ModeでCPの破れを追求することを提案した.1994年にその努力が実り,Bファクトリーの建設が我が国のKEKと米国のスタンフォード線形加速器研究所で始まった.2003年には,わたしたちの予言通り約70%のCPの破れが両研究所で同時に発見され,小林・益川理論の正しさが証明され,両氏がノーベル賞に輝いた. 本研究は当時行った研究の延長であった,23年度はΔS=sin2φ_1(b→s)-sin2φ_1(b→c)パズルと,B→K^+l^+l^-崩壊のForward-Backward asymmetryについて研究を行う予定であったが,30年以上共同研究を続けているBigi氏が脳卒中で倒れたため研究が進んでいない. 現在イタリヤや我が国でも次世代Bファクトリーの研究が進んでいる.この研究計画を実現するために,フレーバー物理学の現状を深くかつ幅広くまとめる必要がある.わたしはこの様な計画に協力するようにヨーロッパの研究者から依頼され,既存するBファクトリーのデザインがどのような経過で発案され実現に至ったかについて出筆することになった.この結果は論文として発表した. フレーバー物理学の開拓者であるリプキン先生の90歳を祝うパーティーで1時間の基調講演を行った.学生の頃先生と初めて会ったときに議論した物理学から先生の最近の研究に着いて話した.日本人としてイスラエルに招待され(旅費,滞在費を含む)家族や友人が参加している中で素人でも理解出来,かつ先生の仕事を深く説明する機会を与えていただいたことは非常に光栄であった.
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