研究概要 |
報告者は、「無限小変位ガウス・ローブ法」という新しい形の基底関数を用いる少数粒子系計算法を考案し、具体的計算法を提唱した。最近では、この方法をさらに発展させ複雑な相互作用をする4体系、また5体系の計算法を確立した。この方法は、3体・4体系束縛状態の解法としては、普遍的で精密な方法であり、まさに他分野に輸出できる画期的な方法である。さらには、自らの研究に閉じることなく、かつ分野を問わず、この計算法を提供してきた。現在、J-PARCプロジェクトとRIBFプロジェクトという大きな実験施設が稼動しつつあり、日本を舞台として、原子核分野の急速な発展が世界的に大いに期待されている状況にある。これらの分野は、量子力学的3,4,5体問題を解く大変重要な課題の多くと提供してきている。こういう状況において、報告者の研究目的は、自身で開発した方法をハイパー核物理分野、ハドロン分野に適用し、これらの分野の発展に貢献することである。平成21年度は、KEK-E373実験で新しいダブルラムダハイパー核が発見された。しかしながら、このハイパー核は、^<11>Be_<ΛΛ>なのか^<12>Be_<ΛΛ>なのか実験的に決めることができなかった。この問題を解決するために理論的な解析が早急であった。そこで、この問題に取り組むために、ααΛΛnの量子力学的5体問題の開発に着手し、エネルギー準位を計算した。そして、発見されたヒダイベントが基底状態であることを理論的示唆することに成功した。また、同時に、2つのα間、αn問にパウリ原理を陽に取り入れた量子力学的5体問題の束縛状態の研究に成功した。現在、Physical Review Letterに投稿するために論文を執筆中である。
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