報告者は、自身で開発、発展させてきた「無限小変位ガウス・ローブ法」をハイパー核、中間子原子核分野、ハドロン分野に適用し、各分野の研究重要課題の発展に寄与、原子核物理学の発展に大きく貢献したいと考えてきた。また、同時にその分野の課題を克服することで新しい課題への応用を高めることも目的とした。この研究手法は、これまでにハイパー核の分野に適用し、この計算結果が、高い予言力をもち、実験企画段階についても、その企画がどういう新しい物理的知見をもたらし、どのような物理的インパクトをもつのかを明らかにしてきた。実際に3種の実験に対して、実験前から密接に議論し、さらには、実験結果の解析・評価を行っており、ハイパー核の実験に対して貢献をしてきたと実感している。平成23年度は、この計算法を^<10>BeΛ、^<10>BΛをα+Λ+N+Nの4体問題に基づいて研究を行い、ΛN相互作用の荷電対称性の破れが現れるかどうかを明らかにし、アメリカのジェファーソン研究所におけるハイパー核実験、ドイツにおけるマインツ研究所、またJ-PARCにおける実験計画に大きな貢献を行った。また、さらにこの研究手法を発展させ、原子・分子分野で最もホットな課題の一つである、^4He原子の4体系の精密計算を行い、計算困難なため、求めることのできなったsecond O^+の束縛状態を精密に求めることに成功をおさめた。
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