研究課題
本研究では、超対称ゲージ理論の非摂動的側面に関して、低エネルギー有効理論の枠を超えた新たな知見を得、理解を深めることを目的として、そのための有効な方法として格子理論に基づく非摂動的定式化を発展させることを行ってきた。平成22年度に本研究代表者は花田政範氏、松浦壮氏と2次元 N=(8,8) 超対称ヤン・ミルス理論に質量項を導入した変形を考察し、2つの超対称性を保つ格子定式化を行った。それは2次元理論の非摂動的定式化にとどまらず、行列模型の手法を用いることにより、4次元 N=4 ヤン・ミルス理論が非摂動的に得られるものである。この構成法はパラメーターの微調整を必要とせず、更に一般的な理論のゲージ対称性に対して可能であると期待される。現時点で、パラメーターを微調整せずに一般的なゲージ群を持つ4次元超対称場の理論が得られる唯一の可能性である。この構成法を摂動論の範囲で検証するため、連携研究者の鈴木博氏を含む共同研究を平成23年度から今年度まで続けている。現時点までに、5つのスカラー場の量子補正を含む運動項を計算し、微調整を行わずに望みの4次元理論の運動項が得られることを確認している。この結果は平成25年3月末現在において論文を執筆中の状況である。また、この構成法を4次元 N=2 超対称ゲージ理論をはじめとする様々な高次元理論に応用する基礎を確立するため、行列模型の手法の研究を行った。黒木経秀氏と超対称二重井戸行列模型の新たな臨界的振る舞いを発見し、それが非自明な背景中の2次元タイプII超弦理論を表すことを議論し、論文にまとめた。これは、高次元超対称ゲージ理論の非摂動的定式化の基礎を与えるのみならず、これまでにない新たな行列模型と超弦理論との対応を与えると考えられるので、現在も継続して研究を行っている状況である。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 3件)
International Journal of Modern Physics: Conference Series 21
ページ: 22-41
DOI: 10.1142/S2010194513009380
Nuclear Physics
巻: B867 ページ: 448-482
DOI: 10.1016/j.nuclphysb.2012.09.020
Lie Theory and Its Applications in Physics: IXth International Workshop, Springer Proceedings in Mathematics & Statistics
巻: 36 ページ: 169-180
http://www.springer.com/mathematics/algebra/book/978-4-431-54269-8
Journal of Physics: Conference Series 343
ページ: 12117
DOI: 10.1088/1742-6596/343/1/012117