研究概要 |
宇宙線の永年変化は、宇宙線の起源、伝播の問題と密接に関係している。しかし、数百万年のスケールでの宇宙線強度変動の実験測定データはほとんど無い。本研究は、高エネルギー宇宙線ミューオンが地下深部の岩石中に生成する宇宙線生成核種Al-26,Be-10を加速器質量分析法(AMS)により測定して、過去1千万年間の高エネルギー宇宙線強度および宇宙線スペクトルの変動について探索する実験的研究法を開発することを目的としている。1)高エネルギーミューオンにより石英中に生成される放射性核種Al-26およびBe-10等の生成率を調べるためにCERNのCONPASS実験における160GeVのミューオンビームを高純度石英板に照射する実験準備および約3ヶ月の照射実験を始めた。照射ミューオンのビーム強度は、プラスチックシンチレータのPMTによりモニターしており1.2X10^7/secで安定していた。2)地下深部の岩石試料として石英の多く含まれている花崗岩ボーリングコアが最適であり、岐阜県東濃地科学センターの花崗岩ボーリングコアの一部を使用することとした。約1000mのコアについて深さごとのBe-10濃度をシミュレーションし300m深度の花崗岩を試料とした。花崗岩から石英を抽出する鉱物分離方法として(1)粉砕,(2)ふるい分け,(3)洗浄・乾燥,(4)磁力分離により無色鉱物(石英・長石類)と有色鉱物(黒雲母・角閃石など)を分離することとした。
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