研究概要 |
本年度は、フォトダイード(PD)、アバランシェフォトダイオード(APD)パッケージ開発とその読み出し回路開発を実施した。前者については、APD(浜松ホトニクスS8664-1010)とPN型PD(S1227-33BR)を同じセラミック台に実装したジュアルフォトダイードを設計した。また各センサーについてシンチレータ光と荷電粒子に対する感度を比較するためCERN(スイス)のSPSビームを用いた加速器実験を実施した。この結果、空乏層の短いAPD、PN型PDはPIN-PDに対して荷電粒子に対する感度が小さく結晶シンチレータを用いたカロリメータのセンサーとしてより適していることが確認できた。後者については,米国NOVA社のVLSIチップMPX-08と米国AMP-TEK社のハイブリッドIC A225を使用した読み出し回路評価を行った。3種類の大きさの異なるフォトダイードとこれらのICにより6桁程度のエネルギー測定ができることが分かった。更に、測定レンジをより広くした新しい専用IC(ASIC)開発を行った。開発したASICはチャージアンプと各アンプについて2系統の波形整形,サンプルホールド回路で構成されており、台湾TSMC社の0.5μmBiCMOSプロセスによって製作した。ノイズレベルは1fC以下であり、最大レンジは約25pCを達成することができた。これを発展させた多チャンネル、低消費電力のASICのため台湾UMC社の0.25μmCMOSプロセスを用いた4チャンネルを内蔵した新しいASICのデザイン研究をし、レイアウト図を作成した。
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