本研究では、スライスエミッタンスをより簡便に、より高時間分解で測定するための新たな手法を開発する。4極電磁石の下流側に放射媒体としてエアロジェルを用いたプロファイルモニターを設置し、そこを通過する電子ビームにチェレンコフ光を発生させる。発生した光の測定対象となる方向を輸送光学系により、ストリークカメラの入射光学系スリットの水平方向に適合させる。電子ビームの横方向空間分布をストリークカメラにより垂直方向に時間掃引することで、電子ビームの時間分解されたビームサイズが取得可能になる。これと4極電磁石の磁場を変化させてエミッタンスを評価するQスキャン法を組み合わせることで、時間分解されたエミッタンス、すなわちスライスエミッタンスを評価をできるようになる。 今年度は、チェレンコフ光発生部の設計・製作とその設置を行った。チェレンコフ光発生部の光発生媒質には疎水性エアロジェルを使用し、光発生部での時間分解の劣化を防ぐために可能な限り薄いエアロジェルを製作した。最小限のスペースでモニターの設置ができるよう、チェレンコフ光発生部はコンパクト化し、エアロジェルのサポートと最初の反射鏡を一体化した設計を行った。このチェレンコフ光発生部は大阪大学産業科学研究所のLバンド電子ライナックの直線部、4極電磁石の下流側に設置した。
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