研究概要 |
昨年度実施した^9Li+d反応実験の解析を進めた。本実験の^9Li(d,d)散乱に対するエネルギー下限値は、ノイズおよび標的厚による限界からE_<cm>~0.3MeV程度であった。一方、理論により予想されていた共鳴エネルギーも0.3MeV程度である。したがって、共鳴が存在するとしてもピークは見えていない可能性がある。実際、得られたスペクトルにはっきりとしたピークは見られていないが、低エネルギーにむかって断面積が増大しているようであることがわかった。今後、^9Li(d,t)等他の反応チャンネルのスペクトルとあわせてR行列fittingを行い、共鳴の有無を検証する予定である。 次に^<17>Ne+pテスト実験のスペクトルのおおまかな解析を行った。スペクトルには幅の狭い(Γ~100keV)ピークがE_<cm>=約2.05MeVに見られた。このエネルギーは^<18>Na核の質量過剰△~25.80MeVに対応し、^<18>Na基底状態の理論予想値△=25.3 MeVよりやや高い。このためピークは^<18N>aの励起状態の1つに対応する可能性がある。今後R行列fittingを行い、共鳴エネルギーと幅をより正確に決定し考察を進めて行く予定である。 上記の解析と平行して、多チャンネル・多準位R行列計算のコードの開発を始めた。コードの基本的な部分の動作確認を行い、実験スペクトル解析に使用し始めた。このコードを利用して過去に我々が測定した^<23>Mg+p共鳴散乱および^8Li+p共鳴散乱のスペクトルのR行列解析を行いつつある。仮の解析では^8Li(p,p)および^8Li(p,d)のスペクトルの形を2つのT=1/2準位および2つのT=3/2準位を用いて初めて定性的に再現することができた。
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