研究概要 |
本年度は、まずRIビーム実験の解析に特化した多準位・多チャンネルR行列計算プログラムを開発し、本研究の実験スペクトルのフィッティングを行うために必要な環境をととのえた。次に、本研究の1つのテーマである^<11>Beにおける^<11>Liのハロー・アナログ共鳴を探索するための^9Li(d,d)散乱および^9Li(d,t)反応に対して、パラメーターを大まかに仮定した模式的なR行列計算を行うことができた。次に、もう1つのテーマである^<18>Mgの2陽子崩壊と密接に関係する^<18>Na共鳴の探索については、昨年度までの^<17>Ne+p陽子共鳴散乱のテスト測定の解析を続行した。観測された1つのピークについて、R行列計算によるフィッティングを行い、その結果、この準位に対し、共鳴エネルギーE=2.06(1)MeV,幅Γ=0.09(2)MeV、スピン・パリティーJ^π=(2,3)^-と決定することができた。理論計算との比較からこの準位は基底状態ではなく励起状態である可能性が高く、また、基底状態の幅は観測できないほど狭い(Γ<0.02MeV)ことが示唆された。また、同じ実験で^<14>O+p(^<15>F共鳴)のスペクトルが、過去の他グループの実験よりも高統計で測定できていることが解析によりわかった。この解析により^<15>Fの基底状態と第一励起状態について共鳴エネルギーおよび幅を過去の実験より良い精度で決定することができた。さらに、R行列計算プログラムにスピン偏極や偏極分解能の計算機能を付加する改良をほどこした。これによりスピン偏極標的を利用した発展的な実験計画を立てるための計算ができるようになった。
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