「すざく」衛星搭載WAM検出器で検出されたガンマ線ベーストのうち、その天球上の位置が判明したものは今年度は22個であった。これらについてはスペクトルの解析結果をガンマ線バーストの世界的なネットワークに報告した。一方、国際宇宙ステーションに搭載されたMAXI観測装置は2009年8月に観測を開始したが、MAXIがガンマ線バーストの閃光放射を捕えた数は年間3個程度であった。この数は当初予測されていた数よりも少ない。しかし、MAXIは他のガンマ線バースト観測衛星に比べ観測エネルギー帯域が比較的低いため、MAXIではスペクトルのソフトなガンマ線バーストのみを観測しているといえることから、ソフトなバーストの数はハードなバーストの数よりも少ないと考えることで説明できることがわかった。また、MAXIの稼動開始以降に、Fermi衛星が発見した346個のガンマ線バーストについて、そのX線残光をMAXIのデータを使って調べたところ、明らかに残光を捕らえているものは2例のみであった。この数はMAXIの稼働率と視野の大きさから予測される数と矛盾しないことがわかった。 可視光残光観測については、観測可能な残光数を増やすと共に、フィルターによる分光を行なうために、口径50cm望遠鏡の主鏡を改修し、反射率を向上させた。また、g'バンド、Rバンド、Iバンドのフィルター観測に用いる3バンド観測装置の基本性能については既に昨年度確認しているので、本年度は光軸や観測波長域の弁別の精度等の改良を加え、較正観測を開始した。
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