ガンマ線バーストの閃光放射に関しては、「すざく」衛星搭載WAM検出器による衛星打ち上げから2010年2月までのデータを統計的に解析することで、ガンマ線バーストが2種類に分類できることをより明確にし、ショートガンマ線バーストが23%、ロングガンマ線バーストが77%を占めること、および250 keV 以下の帯域ではショートガンマ線バーストの放射スペクトルはロングガンマ線バーストに比べ硬いことを明らかにした。 ガンマ線バーストのX線残光に関しては、標準的な残光モデルでは説明できないほど緩やかに減光するものが多いことがわかっている。そこで、Swift衛星で早期観測されたGRB050525Aの閃光X線放射について調べたところ、バースト発生15時間後まで硬X線を放射し続けており、X線残光の緩やかな減光だと考えられていたものが、実はX線閃光とX線残光との合成である可能性の高いことを見出した。これはガンマ線バーストがバースト発生後も活発な状態が続くことを示しており、バーストのメカニズムを考えるうえで重要な要素である。さらにこのバースト発生数時間後のX線閃光の明るさはX線残光に比べて3桁程度明るいことがわかり、新たなモデルの追加が必要であることがわかった。一方、典型的なX線残光は一定時間経過後に減光が急激になっており、このようなX線残光の光度変化を再現するモデルとして閃光放射より前にX線前兆放射が始まっていると考えるモデルが提案されている。そこで本研究では、国際宇宙ステーション搭載全天X線監視装置の観測データから前兆放射を自動探索するシステムを構築し性能評価を行った。その結果、このシステムにより前兆放射や閃光放射の探索に利用できることがわかった。 新たなガンマ線バーストについては、19件の発見と16件の追観測結果についてガンマ線バーストの世界的なネットワークに報告した。
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