研究概要 |
これまで大阪大学核物理研究センターや放射医学総合研究所での実験で我々培ってきた陽子弾性散乱から原子核の密度分布を抽出する方法を応用して、ドイツ重イオン公社(GSI)の重イオンシンクロトロンにおいて新たな中重核の不安定核で陽子弾性散乱実験を平成22年3月より4月にかけて挙行した。本格的な不安定核であるNi58,66,70,の陽子弾性散乱の測定に成功した。現在実験結果のデータ整理中である。これらに関運して以下の項目を実施した。 1) 測定したデータの日本への転送(坂口、谷畑、前田) 300Giga Byteに及ぶ実験データをGSIのコンピュータから核物理研究センターのコンピュータに転送した。 2) 実験装置の日本への輸送(坂口、松田、寺嶋、Jin) 実験終了後各種回路、検出器の確認作業め後、実験装置を分解し、梱何して日本に航空便と船便で輸送した。船便で送った装置は日本国内の税関手続きに2ヶ月ほどかかり、9月になって理研に到着した。装置はすべて梱包を解き、理研に保管されている。 3) 追加測定 検出器の確認作業の結果は良好だったことと、関税上の問題もあるので追加測定は不要と判断した。 4) データ整理と実験データの解析(寺嶋、松田、谷畑、坂口、Jin) GSIでの実験で測定したニッケル不安定核のデータ整理を行っている。中間段階での結果の検討会を核物理研究センターで12月に行った。 5) 理論モデルの再検討(坂口、銭広) 理論のモデルを再検討し、不安定核では電子散乱が行えない現状を考慮し、陽子弾性菜放乱だけから陽子分布と中性早分布を独立に抽出する方法を考案することに成功した。
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